今度は、天体望遠鏡を自作します

2002年10月15日(火)  ドブソニアンの組み立てキット

 我が家に天体望遠鏡がやってきて以来、試行錯誤を繰り返

しながら、天体を見るということが、なんとか形になってき

た。口径10pの望遠鏡には、それなりの限界があって、何

でもかんでも見えるものではない。大阪のショップで、「何

を見るの?」と聞かれた意味もやっと、解って来た。・・・となると、もう少し大きい物が欲しくなるのは

当然の人情・・ではたまた考える。出来るだけお金をかけずに、手に入れるには自作するしかない。今日は

名張まで母の様子を見に行く日。ついでにと、津まで足を伸ばして、ドブソニアンのキットを手に入れた。

ドブソンという人が考え出した、眼視用の簡易な反射望遠鏡だ。赤道儀に載せることも、考えてないものだ

簡易式で自分で組み立てるとは言っても、今の私にとっては、最高の贅沢。大きな箱を車につんで、はやる

心を抑えながら安全運転で帰路についた。



2002年10月24日(木)  ドブソニアン完成!!

 さぁキットの組み立てだ。材はすべてカットされている。

釘と木ねじで組み立てればよい。アイピースを取り付けるア

ームには、僅かなRも付けてある。そして、ヘリコイドは、

このアームに開けてある穴に差し込むだけ・・・・。落ちた

り動いたりしないように、セロテープを二・三回巻きつけて

ピッタリ嵌めろとある。何てことは無い。何度か調整して、

完了。主鏡は両面テープで、底板に貼り付けるだけ・・・。

10cmとは比較にならない、堂々とした20cm鏡の存在感

を両手に感じながら、作業する。中心をはずさないように

注意深く取り付けて、完了。1週間で完成させてしまった。

今夜の月は、月齢18、月出19時20分・・・9時前には向かいの屋根の上に昇って、玄関先から見える

ようになる。



2002年10月3X日(X)  ドブソニアンはドブソニアン!!

 先日、完成したドブソニアンを、玄関先に持ち出して、ワクワクしながら、月の観望にトライ。見える、

見える・・・・・が、しかし「!?・・!?・・」もうひとつしっくりこない。10cmとはいえ、赤道儀に載せ

ていると、月を視野に捉えて追尾するのに、何の苦労も努力も必要ない。赤緯軸、赤経軸のクランプを緩め

て、ファインダーで対象をつかまえ、モータードライブをスタートすれば、あとは全てフリー。時々、視野

の調整をしてやるだけでよい。両手はフリーだし、自分自身が動くことも出来る。それにひきかえ、完成さ

せたこのドブソニアンは、対象の月を捕まえるところから、一苦労する。水平軸、垂直軸を微小に動かすこ

とが、大変に難しい。摺動部分に蝋かグリースを塗って、動きやすくしてみるか・・。その上、自分が望遠

鏡から離れられない。いろいろ考えた結果、木製鏡筒にして、経緯台に載せようと決意・・・・・

ここから、また別の、試行錯誤が始まることになるのだが・・・ドブソニアンは1回の観望だけで、あきら

めることになってしまった。



2003年1月XX日(X)  20cm木製鏡筒

 「星ナビ」や「天文ガイド」を読んでいると、木製鏡筒というものがある。四角い木の箱の中に、鏡を取り

付けて、望遠鏡にしてしまおうというもの・・。もちろん、自作の世界だけのものだ。こんな望遠鏡が売ら

れている訳ではない。「天体望遠鏡の作り方」という本では、初めに紹介されている。天体望遠鏡が、アマ

チュアの趣味として、簡単には手に入らなかった時代のものだ。ドブソニアンを完成させたが、イマイチの

感が拭えないので、作り変えることにする。で、本に書いてある設計図をたよりに自分の寸法を決めていく

出来上がっているドブソニアンの、主鏡と斜鏡の間の寸法を測り、あとは本を参考にした。そして、ホー

ムセンターで、メインの箱となるベニヤ板を求め、さて次は・・・?と考えているうちに、年が変わって

2003年となってしまった。




2003年2月XX日(X)  トップリングと斜鏡セル・主鏡セル

 木の板で、四角い箱を組むのは、難しいことではない。すぐ

に出来た。本を見ながら、また考える。トップリングと主鏡

セルは、ドブソニアンの部品の板を利用することにして、斜

鏡セルは自作あるのみ・・・厚さ0.5oの銅板から切り出した

セル形を半田付けして、セルとし,その中に、斜鏡短径と同径

の木の丸筒を嵌め、さらに、その丸筒を、同径の丸棒で埋めて

中心にドリルで穴をあけ、鬼目ナットを叩き込んで、斜鏡セル

が完成した。次に、トップリングは、ドブソニアンの鏡箱の蓋

を利用することにして、糸鋸でチマチマと切り抜いていった。

そして、ペーパー懸け・・・。ここが単純で退屈な作業の最た

るもの・・・。少し気を許すと、投げ出したくなるのを「ここ

で止めれば、元も子もない。」と、気持ちを駆り立て、駆り立

て続けていった。主鏡セルもドブソニアンの一部を、そのまま

流用。底には、調整ネジを保護する木の足を付け足した。「作

り方」に書かれている通り、進めていって、全てが形になった

時には、もう梅雨も終わっていた。




2003年7月XX日(X)  これも、もうひとつ!!

 このようにして「天体望遠鏡の作り方」と首っ引きで出来た

のが、右の写真。主鏡・斜鏡・接眼部を取り付けるとかるく

10sを超えている。重量のある割には、これも静止させる

のに、非常な努力を強いられる。ゆっくりと覗いていられる

ナンテ、とんでもない。やはり、赤道儀に載せないとダメだ

・・・・・となって気がつけば、赤道儀がもう1台あるじゃ

ないか!!!「よし、これを使おう !!」と思い立った時には、

キットの購入から1年が過ぎていた。



2003年11月XX日(X)   退屈な作業、再び・・・

・・でもって、ホームセンターでアルミ板、アングルを買い

求めて、長さに切って、孔を開け、ねじでとめて・・という

作業を3ヶ月延々と続けて、写真のようなものを組み立てて

しまった。総重量7s・・・・前よりも、ずいぶんと軽くな

って、赤道儀にも、らくらくと載せられる。今回、接眼部だ

けは、ボーグのパーツカタログから、うまくゆけば、ペンタ

ックス645がつけば・・・とヘリコイドMを選んだ。発注と

取り寄せは、すべて「サイバーサイエンス」にお願いした。

サイズなど考えながら、一点ずつ5ヶ月ほどかけて、揃えて

いった。



2004年3月XX日(X)  とうとう、ココまで来た

 最後に問題は、赤道儀への固定部だ。ここはある

程度強度が必要なので、5mm厚が欲しかったが

ホームセンターでは手に入らなかったので、2o厚

2枚と1m厚で5mmとした。ここの工作も、単純

だが時間と手間のかかる作業で、少々うんざりし

ながらも辛抱して続けた。そして、すべての作業が

終わってピントを出す調整をして、完了。かくの如く、我が家の玄関先で、赤道儀に載ることとなった。

・・・目出度し、目出度し・・・。キットを手に入れて以来、1年半もかかってしまった。



2004年8月XX日(X)  ところが、ところが・・・

 しばらく使ってみるがこれもどうも落ち着かない。まず光軸

の具合・・・はっきりこうと指摘は出来ないがもうひとつしっ

くりこない。斜鏡の傾きが気に入らない。平行にしたトップリ

ングと主鏡に対して、斜鏡の中心線が直角ではない。僅かに角

度がある。いったん取り外して、斜鏡の角度をチェック・・・なんたることか、43度ほどしかない。

丸筒をカットする時、切ることにばかり気をとられて角度には全く注意していなかった。作り直すしかない

斜鏡セルをもう一度と、角度を正確にする方法を、考えながらこれだけでいいのかと自問する。全体の形が

今のままだと、覗く姿勢の不自由さがまだ解決しない。ネットで自作記をいくつも見て回ると、赤道儀への

接続部は固定で、接眼部分を回転式にしている人もいる。私の場合は、これは工作が難しいであろう・・・

などと考えを巡らせている間に、日はどんどん過ぎていった。



2004年8月XX日(X)  丸筒(園芸用ボイド)がやって来た

 ・・日はどんどん過ぎていった」とは言っても、何もしなかった訳で

はない。斜鏡セルを作り直すことは、どんどん進めた。要するに、丸筒

の切り口の角度を、正確に45度にするには45度の形枠を作り、ペー

パーで削って合わせればよいのだ。そうこうしている間のある日、千里

のKさんが突然やって来た。それも 25p X 1m の園芸用ボイドを持

って・・・である。これを見たとたん、「鏡筒が出来るではないか、

よし!!」と閃いた。きちんと設計図を書いて、「My 鏡筒」を作ってや

ろう・・・と。



2004年10月XX日(X)  基本構想と設計図

 さて、 鏡筒を作るについて、どのようにするかを

考える。どうせなら以前から考えている中判カメラ

がつくこと、そして35mmとデジカメ・・それに

しては、斜鏡の径をもっと大きくしたいが、それは

次回ファインダーは 7X50 のビクセン製。焦点位置

を決めるために、ヘリコイドや取付アダプターの厚みを計測し645 ボディーの計測もして、書き上げた原寸大

の設計図が右の写真・・・・。設計図を書くについては、一度は CAD を使おうと考え、 フリーウェアも手に

入れたが、使い方を勉強するのに、時間ばかり取られそうで、大きな方眼紙を買って来て、手書きで仕上げて

しまった。これだけでほぼ一ヶ月。それから、スパイダーを製作する金属素材を探して、手に入れるまでに

東急ハンズへ何度も足を運んだ。



2004年11月XX日(X)  スパイダー製作

 歩き回って見つけたスパイダー用の金属素材は、

径50mm厚10mmのアルミ丸板、長さ100

p、厚さ1oの帯鋼、M5X15mmの真鋳ナット、

これ等をロウ付けする銀ロウ・・等など。そしてア

ルミ板に穴を開けて M4 のツメ付ナットを叩き込む

まではよかったが、それに帯鋼をロウ付けするのに難渋することとなってしまった。

アルミ板に、4本の帯鋼をロウ付けするんだが3本

まではうまく付く。4本目が何度やっても失敗する

結局アルミ板が、5枚目になっても成功しないので

アルミはあきらめて、重量が増えるけれど、真鋳板

を使って完成させた。寒い冬にバーナーを使って暖

かい・・・・と思っていたのに、完成した時には、

冷房の中で汗をかきながら作業していた。



2005年7月XX日(X)  いよいよ鏡筒の組み立て

 さぁ、スパイダーも出来上がった。いよいよ鏡筒の組み立てだが、ここで大事なのが、光軸がきちんと合う

ように、チョッとした調整をしていくことだ。まず、斜鏡中心が鏡筒中心に一致するようにスパイダーの位

置を決めること。次に、接眼部を取り付けて、その中心が鏡筒中心に正確に向いているように調整する。そ

して、斜鏡をとりつける。最後に主鏡セルを取り付けて、全体の光軸を調整する。この組み立てが、一番気

を使うところだ。丁寧に丁寧に、この作業を進めながら、頭の片隅では鏡筒バンドの構想を練っていった。



2005年11月10日(木)  20cm自作鏡やっと完成

 先日、自作鏡の鏡筒バンドの組み立てが完了した。すぐに、完成して

いた鏡筒を載せて、バランスをチェック・・・鏡筒自体が8`にもな

っているので、ウェイトは3`を2個、1`を1個、あるだけ全部載

せる。が、バランスはとれない。3`があと1個欲しい。鉛玉をコン

クリートで固めて、ウェイトも自作しようと考えているうちに、今日

になった。今夜はしばらくぶりに月が出ている。薄雲がかかっているが

明日は雨の予報・・・ならば、今夜テストをやろう。19時極軸合わせ

・・19時半セット完了。ブロッスルの10mmで、テスト観望開始。

延長筒で2回伸ばして、設計図どうりの位置でピントが出た。光軸も気にならない程度には合っている。

やはり、きちんと設計図を書いて、可能な限り、それに合わせて作ってきただけのことはある。思えば実

に長かった。2002年10月、ドブソニアンのキットを手に入れてから、3年・・・やっと完成にこぎつけた。

見えている月面も、10cmとは比較にならない。細かい起伏も、よく見て取れる。満足、満足・・大満足。

次は、いよいよ、645のピント出しだ。

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