航海の記録3
なぜ正午に位置を決めるかというと、正午に正中する太陽の高度とその時間を知って正確に位置を決められるからです。
熟練すると、誤差1マイル以内に収められるといいます。現在はGPSの普及によって、何時でも正確な船位がデジタル
表示で得られるようになっています。1970年代後半から、それまで軍事目的だけに使われていたGPSが、民間でも使用
可能となって、船舶にも装備されるようになったからです。GPSはその後自動車の「ナビ」としても活用されています。
1963年、私が初めて乗船した「エベレスト丸」では、毎日昼になると、Captain 以下4名の航海士( Chief Officer, 2nd
Officer, 3rd Officer,4th Officer(私) の4名 )が、六分儀を手に、船橋に集まって太陽の観測を行い、それぞれの正午
位置を求め、メモに書き込んで、提出し、Captain は目の前に並んだ4枚のメモを見比べて、その中からおもむろに1枚を選び、
「今日の正午位置はここ !」という風に決めていました。初めのころは、メモの提出はいつも私が一番最後・・・それが皆と並べ
るようになってからも、この「エベレスト丸」で、私のメモが正規の正午位置として採用されることは、6ヶ月のあいだ、一度も
ありませんでした。
下津港でのエベレスト丸 (47,937重量トン) 姉妹船モンブラン丸と共に、M石油の原油輸送に従事していた